ゴミ屋敷の所有者が、「もう家はいらない」と、所有権を放棄することは可能なのでしょうか?ここでは、ゴミ屋敷の所有権放棄と、財産権との関係、そして注意点について解説します。まず、不動産(土地、建物)の所有権放棄は、民法上、可能です。しかし、所有権を放棄するためには、いくつかの条件があります。登記上の所有者であること: 当然ですが、所有権を放棄するためには、自分がその不動産の登記上の所有者である必要があります。他の共有者がいないこと: 不動産が共有名義の場合、他の共有者の同意なしに、自分の持ち分だけを放棄することはできません。抵当権などの担保権が設定されていないこと: 不動産に抵当権などの担保権が設定されている場合、担保権者の同意なしに、所有権を放棄することはできません。放棄の意思表示をすること: 所有権を放棄するためには、法務局で所有権放棄の登記手続きを行う必要があります。これらの条件を満たせば、不動産の所有権を放棄することができます。しかし、所有権を放棄しても、ゴミ屋敷の問題が全て解決するわけではありません。まず、所有権を放棄した土地や建物は、最終的には国庫に帰属します。しかし、国がすぐにゴミを撤去してくれるわけではありません。多くの場合、ゴミはそのまま放置され、問題は解決しないまま残ってしまいます。また、所有権を放棄しても、固定資産税の納税義務がなくなるわけではありません。土地や建物の所有者が不明な場合、固定資産税は、その土地や建物の「現に使用している者」に課税されます。つまり、ゴミ屋敷を放置したまま所有権を放棄すると、近隣住民や、その土地を不法占拠している人に、固定資産税が課税される可能性があります。さらに、所有権を放棄しても、管理責任がなくなるわけではありません。民法では、「土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。」と定められています。つまり、ゴミ屋敷が倒壊して他人に怪我をさせたり、ゴミが飛散して近隣住民に迷惑をかけたりした場合、所有権を放棄していても、損害賠償責任を問われる可能性があるということです。これらの注意点を踏まえ、ゴミ屋敷の所有権放棄は、慎重に検討する必要があります。
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