潔癖症なのに部屋が汚い。この矛盾を抱える人は、常に自己嫌悪と罪悪感に苛まれています。「綺麗好きなくせに、だらしない」「普通の人ができることが、なぜ自分にはできないんだ」と、自分自身を責め続けてしまうのです。しかし、もしあなたが同じ悩みを抱えているのなら、まず知ってほしいことがあります。それは、潔癖であることと、片付けができることは、全く別のスキルだということです。潔癖症は、多くの場合、強迫性障害の一種とされ、汚れや細菌に対する非合理的な恐怖や不安が根底にあります。それは、意志の力でコントロールするのが難しい、脳の機能に関わる問題です。手を何度も洗わずにはいられない、ドアノブを素手で触れないといった行動は、「だらしない」の対極にある、過剰なまでの防衛反応なのです。一方で、片付けや整理整頓は、物を分類し、要不要を判断し、計画的に収納するという、論理的な思考と実行力を必要とするスキルです。潔癖症の人が持つ「完璧にやらなければ」という思考や、「汚いものに触れたくない」という恐怖は、この片付けスキルを発揮する上で、大きな妨げとなってしまいます。つまり、あなたは「だらしない」のではなく、潔癖症という特性が、片付けという行動を極端に難しくさせているだけなのです。自分を責めることは、何も生み出しません。むしろ、ストレスが症状を悪化させ、さらに片付けから遠ざかってしまう悪循環に陥るだけです。まずは、「潔癖な自分」と「片付けが苦手な自分」を切り離して考えてみましょう。そして、片付けができない自分を許し、その上で、どうすれば少しでも楽に行動できるかを考えていく。自分を責めるのをやめ、自分を理解することから、本当の解決策は見つかるはずです。